インプラント

小学校の頃

インプラントに関係なさそうな話をさせていただきたい。小学校の頃、旧友に連れられて山姥(やまんば)を見に行ったことがある。もちろん一時流行った「ヤマンバギャル」というやつではなく、本物の山姥である。当時は本気でそう信じていた。

恐ろしく歯並びが悪い

山姥といっても妖怪ではなく、近所の山の洞窟をねぐらにしている浮浪者の女性だったのだと思う。半信半疑で友達についていった私は「本物」の山姥を目の当たりにして、恐怖のあまり卒倒しそうになった。とりわけ怖かったのが歯だった。恐ろしく歯並びが悪い。悪いどころじゃない、中には他の歯の倍(歯茎から上だけの話)ほども長い歯があったりして、友達はそれをみて「あれが山姥の証拠」だと私にささやいたし、私も納得してしまったものだ。

歯並び

あんな歯並びをしているのは、私の知る限り、日本の昔話の山姥か西洋の昔話の魔女ぐらいなものなのだから。今でも山姥というとその女性の姿を思い出してしまう。そして、いつも思いは歯に向かう。「なんであんなあり得ないような歯並びになってしまったのだろう」と。

歯科インプラント

実は今回歯科インプラントのことを調べていて、久しぶりにその「山姥」のことを思い出したのだ。調べる過程で「歯を失くした場合のリスク」についてあれこれ書いてあるのを読んでいて、ふと思ったのだ。これが彼女の歯並びをあそこまで酷いことにしてしまった原因ではなかろうかと。

歯を一本失くした場合

例えば歯を一本失くした場合、それは一本の歯だけの問題にとどまらず、被害はどんどん口中で拡大していくというのだ。一本の歯が欠けると、その空いたスペースを埋めようとして両隣の歯も寄ってくる。それどころか、対面する歯が伸びてきたりもするらしい。かつての級友が「山姥の証拠」だと指摘したやたらに長い歯は多分それだったのだ。

人の体

人の体というのは本当に凄いものだ。永久歯を失うのは取り返しのつかないことだけれど、それでもなんとか他の歯で補って、最低限生きていけるレベルを維持しようとするわけだ。では、見た目さえ気にしなければ放っておけば良いのかというと、決してそんなわけではない。

深刻な事

見た目があの「山姥」状態になっても構わないと思う方はそうそうおられないとは思うが、深刻な事に見た目だけの問題ではないのだ。一本歯が欠けるだけで、他の歯が移動して補完しようとする事は前回お話したが、それで完全に補完できるものでもない。

噛み合わせ

噛み合わせが悪くなる。噛み合わせが悪くなると、歯垢も溜まりやすくなるし手入れも困難になる。当然、感染もしやすくなるし、他の歯をも失う原因になる。被害は口中だけにとどまらない。噛み合わせが狂うということは、筋肉の使い方がアンバランスになることをも意味する。筋肉の使い方がアンバランスになると、骨格に歪みが生じて来る。

生命を維持

骨格、とりわけ脊椎は人の生命を維持するにかかせない神経系の束が通っているところだ。骨格の歪みが脊椎を圧迫するレベルになってくると、たちまち各種臓器の変調を引き起こす。ホルモンのバランスも崩れ、体は抵抗力を失う。どうだろう。歯を一本失うだけで、このように「雪だるま式」に生命が損なわれて行く可能性だってあるのだ。

見た目の話

見た目の話に戻ると、単に歯並びが悪いだけで魔女にも山姥にも見えるのだけれど、歯並びが悪いと(さっきも書いた通り)筋肉の使い方もアンバランスになる。当然ながら、顔の筋肉の使い方だって異常になる。つまり、人相だって変わるわけだ。